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温度伝導率とは?断熱材の熱の伝わる速さを暮らしから解説
朝は過ごしやすかった2階が、午後になると急に暑くなる。夕方になっても天井付近に熱がこもり、エアコンをつけてもなかなか涼しくならない。こうした夏の暑さには、窓から入る日射や屋根の形、換気、冷房計画など、さまざまな要因が関係しています。
もう一つ知っておきたいのが、屋根や壁の中で温度変化が伝わる速さです。その速さを表す指標が「温度伝導率」です。BOTANICAL HAUSでは、UA値や熱伝導率だけでなく、外の暑さが時間とともに室内側へどう伝わるかまで考えて、断熱材と建物の構成を選んでいます。
先に結論をいうと、温度伝導率が低い材料ほど、屋外側で生じた急な温度変化が内部へ広がりにくい傾向があります。真夏の午後に屋根や壁が熱くなっても、その変化が室内側へ現れる時刻を遅らせ、冷房で整えた環境を保ちやすくする方向に働きます。ただし、実際の快適性は温度伝導率だけでなく、窓、日射遮蔽、気密、換気、冷房計画、施工精度まで含めて決まります。
温度伝導率とは 熱が伝わる速さを示す材料の性質
温度伝導率は、材料のある部分に生じた温度変化が、その材料の内部へどのくらい速く広がるかを表す物性値です。「熱拡散率」とも呼ばれ、単位にはm²/sやm²/hが使われます。値が小さいほど、表面の温度変化が材料内部へ広がりにくいと読みます。
ただし、温度伝導率は「熱を一切通さない」ことを示す値ではありません。時間とともに変化する熱の伝わり方を理解するための指標であり、熱伝導率とは役割が異なります。
目次
温度伝導率の計算式
温度伝導率 α は、一般に次の関係で表されます。
α = λ ÷(ρ × c)

熱伝導率が同程度であれば、密度と比熱の積が大きい材料ほど温度伝導率は小さくなります。つまり、熱の通しにくさだけでなく、材料がどれだけ熱を受け止められるかも、温度変化の広がり方に関係します。
熱伝導率と温度伝導率は何が違う
熱伝導率は、一定の温度差があるときに熱がどれだけ通りやすいかを示します。断熱材では一般に、値が小さいほど同じ厚さで熱を通しにくいと評価できます。温度伝導率は、温度変化が材料内部へ広がる速さを示します。似た言葉ですが、見ている現象が違います。

どれか一つが他の指標を置き換えるわけではありません。住宅の省エネルギー性能を検討するうえでUA値やU値は重要であり、時間変化を考えるときに温度伝導率や熱容量の視点が加わります。
UA値では温度伝導率まで評価できない
UA値は、住宅の外皮から逃げる熱量を外皮面積で平均した指標です。壁、屋根、床、窓などの断熱性能を建物全体で評価するのに役立ちます。一方、材料の密度や比熱、日射を受けたあとの時間変化を直接示す値ではありません。
UA値の基本的な意味や断熱等級との関係は、「UA値とは?東海地区での数値の見方・断熱等級との関係を解説」で詳しく紹介しています。
同じUA値でも同じ住み心地とは限らない理由
室温と体感は、断熱性能のほかにも、窓の大きさと方位、庇や外付けブラインドによる日射遮蔽、隙間の少なさ、換気、冷暖房の使い方、熱橋、施工精度などの影響を受けます。UA値が同じでも、これらの条件が違えば夏の温度変化や体感は変わり得ます。
住宅業界で温度伝導率があまり語られない理由
住宅会社や断熱材メーカーの性能説明は、UA値、断熱等級、熱伝導率、熱抵抗が中心です。これらは省エネ基準や外皮性能の計算で使われ、住宅同士を共通の尺度で比べるために欠かせません。一方、温度伝導率や比熱はUA値の計算に直接使われないため、一般向けの説明では取り上げられる機会が多くありません。
また、温度伝導率は材料単体の温度変化を表す値です。実際の室温へ結び付けるには、断熱材の厚さ、屋根・壁の多層構成、日射、窓、換気、冷房なども考える必要があり、短い商品説明では伝えにくい指標でもあります。温度伝導率に触れない会社が性能を隠しているということではなく、制度上の評価項目と、時間的な熱の動きを見る指標の役割が異なるのです。
BOTANICAL HAUSは、基準となるUA値や断熱等級を大切にしたうえで、その先にある「真夏の午後に熱がどう伝わるか」まで考えます。ここに、断熱性能を暮らしから考えるBOTANICAL HAUSの特徴があります。
密度と比熱が断熱材の熱の伝わり方に関係する
木質繊維断熱材には、木の繊維を高密度に成形したボードと、柱間などに充填する比較的軽い製品があります。同じ木質繊維でも密度や厚さ、熱伝導率は製品ごとに異なり、温度伝導率も同じではありません。製品名と仕様をそろえて比較することが大切です。
また、「蓄熱性が高い」という表現だけで夏の室温を断定することはできません。実際の屋根や壁は複数の材料で構成され、日射も時間とともに変化します。建物全体の応答を知るには、多層構成を反映した温熱シミュレーションや、条件を明記した実測が必要です。
GUTEXの遮熱時間を暮らしの時間で考える
エコラボ展示場に掲示しているGERMAN HOUSE提供の比較資料では、断熱材をすべて同じ200mmの厚さにそろえ、外側が最も熱くなったあと、その影響が室内側に強く現れるまでの時間差を比べています。参考値は、ECOBOARDが12時間、セルローズが8時間、石油系断熱材が5時間、ガラス繊維系断熱材が3時間、羊毛が1.5時間です。

ここでいう遮熱時間は、外の熱が断熱材の中を移動して室内へ到着するまでの所要時間ではありません。たとえば、強い日射によって屋根や外壁の外側が正午に最も熱くなった場合、ECOBOARDを200mm使用した構成では、その影響が室内側に最も強く現れる時刻が約12時間遅れる、というイメージです。温度の変化は断熱材の中を伝わる間に時間的に遅れ、変化の大きさも緩やかになります。
温度変化が早く伝わる構成では、屋根や外壁が熱くなるのに合わせて、午後から天井や壁の室内側も熱くなりやすくなります。一方、ゆっくり伝わる構成は、真夏の午後に天井や壁の室内側が急激に熱くなるのを抑え、冷房で整えた環境を保ちやすくする方向に働きます。ただし、この表は厚さを200mmにそろえた参考比較です。実際の製品、採用厚、屋根・壁の構成は異なるため、この時間だけで断熱材の総合的な優劣や完成後の室温を判断することはできません。
BOTANICAL HAUSの採用厚では約8.2時間
厚さ200mmは、断熱材の違いを同じ条件で比べるための設定です。BOTANICAL HAUSで採用する断熱材の厚さは、屋根と壁で異なり、いずれも200mmではありません。そのため、比較表の時間を実際の住宅にそのまま当てはめることはできません。
GERMAN HOUSEから提供された資料では、BOTANICAL HAUSの採用厚に置き換えた遮熱時間の参考値は約8.2時間です。これは時間に直すと約8時間12分です。

例えば、屋根や外壁の外側が正午に最も熱くなったと仮定します。約8.2時間は、その影響が室内側に強く現れる時刻との時間差を表した参考値です。正午を基準にすると午後8時12分頃に当たります。ただし、昼に受けた熱がその時刻に突然室内へ入るわけではありません。温度変化は遅れて伝わり、その大きさも緩やかになります。この値だけで、完成した屋根や壁の性能、室温の推移を予測することはできません。
約8.2時間が住み心地にどう関係するか
屋根や外壁の外側が熱くなると、その影響は時間をかけて室内側へ伝わります。天井や壁の室内側の温度が上がると、室温が同じでも放射熱によって暑く感じることがあります。温度変化を遅らせ、緩やかにする構成は、真夏の午後に天井や壁が急に熱くなるのを抑える方向に働きます。ただし、約8.2時間という参考値から、午後の室温や体感を直接予測することはできません。
また、約8.2時間後に室内が突然暑くなるわけでも、遮熱時間が長ければ冷房なしで必ず涼しくなるわけでもありません。実際の室温や体感は、屋根・壁の構成、窓から入る日射、日射遮蔽、気密、換気、室内で発生する熱、冷房の使い方、施工精度にも左右されます。BOTANICAL HAUSでは、GUTEXの特性とこれらの条件を建物全体で考え、室内側の温度変化が穏やかな住まいを目指します。
建築中の現場で確認した夏の温度変化
BOTANICAL HAUSでは、2026年8月18日に建築中の物件で温度を測定しました。天候は晴れから曇り。サッシ取付済み、屋根は外張り・充填断熱とも施工済み、壁は充填断熱施工済みで外張り断熱施工中、冷房なしの段階で、10時、12時、14時、16時に記録しています。


単位はすべて℃です。正午には屋根表面が62.1℃まで上がりましたが、小屋裏は31.2℃、1階室温は30.7℃でした。高温になった屋根の温度変化が、そのまま小屋裏や1階へ現れていなかったことが分かります。壁でも、外張り断熱材表面42.3℃に対して、充填断熱材の室内側は31.4℃でした。屋根表面と小屋裏の差は31.4℃、壁の外張り表面と充填材室内側の差は10.9℃です。小屋裏と1階室温の差は各時刻0.1〜0.5℃に収まっていました。
この結果は、当日の建築中物件で確認された温度分布です。完成後の室温や年間性能を保証するものではなく、温度差をGUTEXだけの効果と断定するものでもありません。所在地、測定機器、開口部の状態、空調の稼働状態が確認できていないため、他の住宅との直接比較にも使用できません。
断熱材選びで住宅会社に確認したい5つのこと
- 製品名、熱伝導率、厚さをセットで確認する
- 密度、比熱、温度伝導率の出典と単位を確認する
- 屋根・壁・床それぞれの層構成と熱橋対策を確認する
- 窓の性能、方位、庇などの日射遮蔽を確認する
- 気密・施工管理と、建物全体の温熱シミュレーションを確認する
比較表に代表値だけが載っている場合は、どの製品・厚さ・試験条件の値かを確認しましょう。材料の数値が良くても、隙間や断熱欠損があれば設計どおりの性能は得にくくなります。
BOTANICAL HAUSは熱が伝わる時間まで考える
BOTANICAL HAUSが目指しているのは、断熱等級やUA値を満たすだけの家ではありません。朝から午後、そして夜まで室温がどのように変わるのか。真夏に2階へ上がったときにどう感じるのか。冷房で整えた環境を、どれだけ穏やかに保てるのか。実際の暮らしから断熱を考えます。
屋根と壁には、高密度の外張り用GUTEXと充填用GUTEXを組み合わせたダブル断熱を採用しています。床にも性質の異なるGUTEXを組み合わせます。さらに、温熱シミュレーションを行い、計算上の数値だけで終わらせず、建築中の現場でも屋根、小屋裏、壁、室内の温度を測定しています。
数値を高く見せるためではなく、家族が毎日を心地よく過ごすために、熱の量だけでなく、熱が伝わる「時間」まで考える。これがBOTANICAL HAUSの断熱設計です。
まとめ
温度伝導率は、材料内部に温度変化が広がる速さを示す指標です。熱伝導率やUA値とは評価する対象が異なり、真夏の午後に屋根や壁の熱がどう伝わるかを理解する手がかりになります。
BOTANICAL HAUSは、UA値や断熱等級に加えて、温度伝導率、密度、比熱、遮熱時間にも目を向けています。GUTEXを使った部位構成、窓、日射遮蔽、気密、換気、冷房計画、施工を組み合わせ、外が暑くなっても室温が急激に変わりにくい、穏やかな暮らしを目指します。
FAQ
温度伝導率と熱拡散率は同じですか
一般には同じ物性を指します。本記事では生活者に伝わりやすい「温度伝導率」を本文で使い、資料の表記を紹介するときは「熱拡散率」としています。
温度伝導率は低いほどよいですか
温度変化の広がりにくさだけを見れば、低いほど有利な傾向があります。ただし、断熱材の厚さ、熱抵抗、部位構成、施工、日射条件も合わせて判断する必要があります。
ECOBOARDの遮熱時間12時間とはどういう意味ですか
断熱材を200mmの同じ厚さで比較したとき、外側が最も熱くなった時刻から、その影響が室内側に最も強く現れる時刻までに約12時間の差がある、という参考値です。外の熱が12時間後にそのまま室内へ到着するという意味ではなく、温度の変化は遅れながら緩やかに伝わります。
BOTANICAL HAUSの遮熱時間約8.2時間とはどういう意味ですか
GERMAN HOUSEから提供された、BOTANICAL HAUSの採用厚に置き換えた参考値です。屋根や外壁の外側が正午に最も熱くなったと仮定すると、その影響が室内側に最も強く現れる時刻は約8時間12分後になる、というイメージです。熱が午後8時12分に突然入ってくるという意味ではなく、特定の屋根・壁の完成性能や室温を保証する値でもありません。
実測値を自宅の性能予測に使えますか
そのまま使うことはできません。今回の値は特定の日、建築途中の一物件で得たものです。完成後の性能予測には、設計条件を反映した計算と、その建物での測定が必要です。